たしざん・ひきざんの教え方E 〜 文章題 について〈その1〉〜

紙とエンピツ子どもたちは「文章題」が苦手?!

 よく、「計算はできるのに文章題が苦手で…」という話を聞きます。
 問題を読んで正しい式が作れない子、文章題は苦手だとそっぽをむく子は大勢います。

 

たしざん・ひきざん 間違い例 __sozai__/0011759.gif

@ わなげをしました。
  かいめは つ、かいめは つ はいりました。
  あわせて いくつ はいりましたか。

   しき  1+4+2+3=10

                   こたえ 10つ

 

A 450円で えほんをかって 500円 はらうと おつりはいくらですか。

   しき  450−500=50

                   こたえ 50円

 

 

 たしざん・ひきざん の文章題は、大人にとってこれほど簡単なものはない! というふうに思えるのですが、まだまだ人生経験に乏しい子どもたちは ちょっとひねった問題になると 途端に混乱してしまいます。
 上の間違い例のように、文中に出てきた数字を順番に書いて「+」か「−」でつないですませる場合も多いのです。「問題をよく読まないからでしょ!」なんてつい責めてしまったり…。でも本当に、よく読めば解けるのでしょうか?

 苦手の原因を、「読解力不足」と考える人もありますが、読書好きの子どもが得意かと言えばそうとも限りません。語彙(ごい)の貧弱さ、イメージ力の乏しさもあるけれど、主要な原因は、「演算の意味」がしっかり教えられていない ことにあります。また「量」になじんでいないことたしざん・ひきざんができる量かどうかの区別の指導が軽く扱われていること も影響しています。

 これまで何度もお話ししてきましたが、最初に演算を学ぶ上で大切なのは、どんな時に使う計算か、その意味をわかっているかどうか ということです。おさらいをしますと、

 あわせた数を出すのが 「たしざん」 で、

 残った数を出すのが 「ひきざん」 でした。

 これが最も基本となる考え方になります。
 この基本の考え方で、一番典型的な場面を例にして、たしざん、ひきざんとはどういうものかを学び、計算を習熟した後、いろいろな種類の問題を指導していきます。
 実はたしざん・ひきざんはいろいろな型に分類することができます。教える側の大人は、そのことを知った上で子どもの状況に合わせた与え方をする必要があります。

 

〈たしざんの種類〉

 たしざんの基本は「あわせていくつ?」なので、最初は次のような問題で考えます。

たしざん

  左手に みかんを 2こ、右手に みかんを 1こ もっています。
  あわせると なんこですか?

    しき  2+1=3

                   こたえ 3こ 

二つの集合を
あわせるので、

「合併型」

と呼んでいます。
最初は同じ種類どうしをあわせる問題です。
   (同種)

本物のみかんを手に持って目の前のお皿にバサッと入れてみます。小さい子どもたちは実物やタイルを動かす操作活動を通して思考力が育ちます。最初に「合併型」を持ってくるのは、操作をしやすく子どもたちに理解しやすい からです。 

 

 続いて、同じ「あわせていくつ?」になるのですが、違う種類のものをあわせています。

たしざん  

  かごの中に みかんが 3こ、りんごが 1こ はいっています。
  くだものは ぜんぶで なんこ ありますか?

   しき  3+1=4

                   こたえ 4こ

@と同じ、

「合併型」

ですが、
違う種類をあわせて「くだもの」の数をきいています。
   (異種)

男の子3人と女の子1人で何人か?といった問題に「男の子と女の子はたせない」とひっかかる子どももいます。子どもは全部で何人かと聞くことで納得できるでしょう。

 

 次は、時間的経過を伴うたしざんです。

たしざん  

  みかんを 2こ もっていました。
  おかあさんに 1こ もらいました。
  ぜんぶで なんこに なりましたか?

   しき  2+1=3

                   こたえ 3こ 

  

後から加えたり増えたりするので、

「添加型」
「増加型」

と呼んでいます。

体重が増えた、赤ちゃんが生まれて人口が増えた、といった場面もこの型になります。
合併型の@とAは、たす順番を変えても成り立ちますが、Bの場合は成り立ちません。 


 これらが1〜2年生でおもに扱われるたしざんです。

 このほかに、一方より多い量を求める場合のたしざんもあります。

たしざん  

  弟は シールを 5まい もっています。
  お兄さんは 弟より 3まい多く もっています。
  お兄さんは なんまい シールを もっていますか?

   しき  5+3=8

                   こたえ 8まい 

  

基準となる方より大きい量を求めるので、

「求大型」

と呼んでいます。

この場合は、シールが増えたわけではありません。兄の分は、弟の数を兄の数に置き直して3を加えることで出てくるので、一段階、難しくなります。
また、弟が5枚、兄は8枚なので、シールの数は全部で13枚存在していますね。 

 
 ここまでは、ものの多さを表す数(集合数)どうしのたしざんでした。
 今度は、○番目 のような順番とか位置を表す数である「順序数」のたしざんになります。
 順序数は、例えば1等と3等をあわせても4等にならないように、いつでもたしざんができる数ではありません。
 けれど、次のような例ではたしざんで答を求めることになります。

たしざん  

  みほさんは 前から 3ばんめに ならんでいます。
  みほさんの後ろには 5人 ならんでいます。
  ぜんぶで 何人 ならんでいますか?

   しき  3+5=8

                   こたえ 8人 

 

順序数+集合数 

のタイプになります。

順序数はいつでもたしざんができるわけではないので注意が必要です。
このタイプはたしざんの学習のずっと後の方で学ぶのが良いと思います。 

 

 このように、一口にたしざんといってもいろいろな種類があることがわかりますね。
 けれど、あらゆるたしざんは「あわせていくつ?」という合併型にもどして説明することができるので、「合併」をたしざんの基本と位置づけているわけです。

 

〈ひきざんの種類〉

 ひきざんの基本は「のこりはいくつ?」なので、最初は次のような問題で考えます。

__sozai__/0011759.gifひきざん

  みかんが 3こ ありました。1こ たべました。
  のこりは なんこですか?

   しき  3−1=2

                   こたえ 2こ

 

はじめの集合から取り除くので、

「求残型

と呼んでいます。

   (除去)

ひきざんにおいては、実物やタイルを動かす操作活動がしやすい「除去」が最もわかりやすい例です。 取り除いた残りを尋ねているので、ひきざんのイメージに合っています。

 

 続いて、求残に近いけれども実際に減ったわけではないという場合です。

__sozai__/0011759.gifひきざん 2

  子どもが 4人 います。3人は 男の子です。
  女の子は なん人ですか?

   しき  4−3=1

                   こたえ 1人

 

全体から一方を引いて他方を求める場合、

「求補型

と呼んでいます。

たしざんAの逆にあたります。

 

 上の二つはさほど難しくありませんが、次の差を求めるものは一段と難しくなります。

__sozai__/0011759.gifひきざん 3

  女の子が 8人、男の子が 5人 います。
  どちらが 何人 多いですか?

   しき  8−5=3

             こたえ 女の子が 3人 多い

 

二つの量を比べその違い(差)を求めるので

「求差型

と呼んでいます。

「女の子から男の子はひけない…」とひっかかる子どもがいます。
この場合は、女の子と男の子に手をつながせて1対1対応させます。すると、手をつなげなかった女の子が出てくるので女の子の方が多いとわかります。「女の子全員」から、「男の子と手をつないだ女の子」をひいて「残りの女の子の数」が出てきます。「のこりはいくつ?」のひきざんの意味にも合うわけです。
こうしたていねいな指導が必要なので@とAのタイプが十分できるようになったずっと後にBの求差型を入れるべきです。けれど教科書では求残型のすぐ後に差を求めるひきざんが出てくるので混乱の原因になっています。

  子どもが 8人、いすが 5きゃく あります。
  いすは いくつ たりないですか?

   しき  8−5=3

              こたえ 3きゃく たりない

同じく

「求差型

ですが、比べる対象が、子ども(人)といす(脚)です。

比べるものが異なる種類になると更に難しくなります。こたえ   の助数詞にも注意が必要です。 

 

 このほかに、たしざんCに対応して、一方より少ない量を求める場合のひきざんもあります。

__sozai__/0011759.gifひきざん 4

  お兄さんは シールを 8まい もっています。
  弟は お兄さんより 3まい少なく もっています。
  弟は なんまい シールを もっていますか?

   しき  8−3=5

                   こたえ 5まい 

  

基準となる方より小さい量を求めるので、

「求小型

と呼んでいます。

この場合も、シールは減りません。二つの量の「差」がわかっていることになります。
そしてやはり弟が5枚、兄は8枚なので、シールの数は全部で13枚存在していますね。

  

 ひきざんの場合も、次のような例では「順序数」のひきざんで答を求めることになります。

__sozai__/0011759.gifひきざん 5

  8にんの 子どもが 1列にならんでいます。
  みほさんは 前から 3ばんめに います。
  みほさんの後ろには 何人 ならんでいますか?
    しき  8−3=5

                   こたえ 5人 

  

集合数−順序数 

のタイプになります。

  3時から 7時まで そとで あそんでいました。
  なん時間 あそんでいましたか?

   しき  7−3=4

                   こたえ 4時間  

  

順序数−順序数 

のタイプになります。

順序数はいつでもひきざんができるわけではないので注意が必要です。
このタイプはひきざんの学習のずっと後の方で学ぶのが良いと思います。

 

 このように、ひきざんの種類もさまざまです。
 けれどやはり、ひきざんの基本は、「のこりはいくつ?」という求残型であると言えます。

 (つぎにつづく) 

 

たしざん・ひきざんの教え方F〜文章題について 〈その2〉〜 はこちら

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