わり算の教え方D 〜 ふたたび、わり算の意味 〜

紙とエンピツわり算 の二つの意味、「等分除」と「包含除」

 わり算には二つの意味があることは前に説明しました。(わり算の意味についてはこちらをどうぞ)

 一つは、「全体の数÷いくつ分=1あたりの数」 で、これを難しい言葉で「等分除」と言います。

 もう一つは、「全体の数÷1あたりの数=いくつ分」 で、こちらは「包含除」と言います。

 同じわり算でも求める答が違います。この違いはタイルで考えると次のようになりました。

 

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 「水道方式」では、「1あたりの数を求めるわり算=等分除」をわり算の基本と考え、筆算の方法を学習し終わるまでは(数育会では4ケタ÷1ケタまでは)、「等分除」で一貫させています。そして計算の手順がしっかり身についた後で初めて、もう一つのわり算、「いくつ分を求めるわり算=包含除」 を指導しています。

 一方、3年生の教科書では、先に「等分除」で導入はしますがすぐ後に「包含除」を出してきて、それ以降はこの二つを(教える側の都合に合わせて)ごちゃ混ぜに登場させている場合が多いのです。

 私たちがわり算の筆算を「等分除」で通して教えるのには理由があります。一つにはこれまで見てきたように、筆算の計算法が「等分除」の意味に基づいて行われる からなのです。
 例えば「76÷3」を計算する場合、タイル「7本と6個」にし、最初に大きい位の7本から分けるほうが合理的だと述べました。(詳しくはこちら) 同じに分けて1人分の数を求めるのでこれは「等分除」になりますね。
 もしこれを「包含除」にするとどうでしょう。「76個」のバラタイルを3個ずつまとめていくことになり、「上の位から計算する」必然性が無くなってしまいます。
 わり算の計算の手順も日常的な「分ける」という操作と結びついています。だから、いま何を学んでいるか が一番よく分かる方法で指導をするわけです。わり算の筆算を習得すれば、後に習う「包含除」は全く同じ手順で計算することができます。

例えば「6÷2」を教えるとき、
  「6の中に2がいくつ(分)入っているか」とか「6から2は何回引けるか(累減)」
  
という教え方があります。これらは「包含除」的教え方だと言えます。

 「等分除」も「包含除」も重要なわり算です。けれども2つの重要な概念を同時に教えると子ども達は混乱します。文章題で「何算にするのかわからない」というつまずきもこのことが大きな要因と考えられます。なので私たちは「等分除」で1つの概念を身につけてから、次の概念である「包含除」を教えています。2つのわり算を明確に区別し、ちがいを意識して教えるわけです。
 後に出てくる、「面積÷長さ=長さ」や、物質密度(g/cm3)・人口密度(人/km2)・速さ(m/秒)の「単位あたり量」などなど、わり算の世界は次々と拡がっていきます。
 子ども達の成長に応じて、わり算の世界が一つずつ確実に心の中に拡がっていくように指導したいと思います。

 

紙とエンピツわり算 と かけ算

 「わり算はかけ算の逆でしょ」という教え方を耳にすることがあります。
 確かにわり算はかけ算の逆算なのですが、初めて学習する子ども達には、「わり算」が物を分けるという操作から導き出された新しい意味を持つ演算として導入するほうが身近で分かりやすく後への発展性があります。水道方式では、たし算・ひき算・かけ算・わり算を独立してそれぞれ現実世界の量と操作から導入します。そうして後に、「たし算とひき算」、「わり算とかけ算」で互いに密接な関係があることを教えていくようにしています。

 さて、わり算は、「全体の数÷いくつ分=1あたりの数」 と、「全体の数÷1あたりの数=いくつ分」 の2つがあると説明しましたが、これを見ると、わり算はかけ算と深い関わりを持つ演算だということがよくわかります。

 かけ算 とは、

1あたりの数いくつ分 がわかっていて 全体の数 を出す計算です。

「1あたりの数 × いくつ分 = 全体の数」  という式で表します。

 タイルの図は次のようになります。

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 タイル図を見てわかるように、「1あたりの数」と「いくつ分」と「全体の数」の三つの関係から、どれを求めるかによって、かけ算を使うのか、わり算を使うのか、が決まってきます。
 このようなタイル図を発展させたものを「かけわり図」と呼んでいます。文章題を解くときにタイル図や「かけわり図」がイメージできれば式が立てやすくなります。

 

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数学で育ちあう会 F教材 F-186より

 

 「かけわり図」では、1あたりの数が増えれば上に拡がり、いくつ分が増えれば横に拡がり、それに伴って全体の数が拡がります。また液量や重さなどの連続した量にも、そして小数や分数にも使えるので、一貫性・発展性があります。

 

 わり算が「1あたり」を求める演算であることをしっかり理解できていれば、小数・分数のわり算や単位量・割合の理解につながります。わり算とかけ算がわかれば、量の世界が拡がります。小学校算数の基礎・基本を確実なものにして中学・高校の数学へと発展させていくためにも、ていねいにじっくり学習を進めていきたいものです。

 

 

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